ビッグサンダーマウンテンの奥深き世界
自分は訳がわからないほどの頻度で海外ディズニーパークに行っているので、カリフォルニア、フロリダ、東京、パリにある全てのビッグサンダーマウンテンを制覇しちゃいました。しかしこの記事を読んでいるほとんどの人は東京版しか乗ったことが無いでしょう。正直に言います。もったいない!ビッグサンダーマウンテンは東京版に乗っただけでは分からないほど奥深いのです!ということで今回はビッグサンダーマウンテンの奥深さについて語っていきたいと思います。
1850年代のこと。ゴールドラッシュによって瞬く間に成長した、ビッグサンダーマウンテン・マイニング・カンパニーという会社がありました。彼らは鉱山鉄道を使ってビッグサンダーマウンテンに眠る大量の金を採掘していましたが、次第に金の採掘量は減少。そして数十年後にビッグサンダーマウンテンは廃鉱となってしまいます。そして時はたち1880年代。廃鉱となったはずの鉄道が突然動き出し暴走し始めたのです。そしてゲストはその暴走列車に乗り込む...と、メインとなるお話はだいたいこんな所。しかしバージョンによってはこのメインの設定に大きく独自のストーリーが足されているところがあります。ということで特に凝っていると感じたパリ版とフロリダ版を中心に話していきましょう。
ディズニーランドパリにあるフロンティアランド(日本で言うウエスタンランド)では、全てのアトラクションのストーリーがつながっています。このお話の舞台となるのはアメリカ西部のサンダーメサという名の街。元々は先住民族が住むのどかな街だったのですが、ある日ヘンリー・レイブンスフォードという人がビッグサンダーマウンテンに大量の金が眠っていることを知ります。そこでヘンリーはサンダーメサ・マイニングカンパニーを設立。自身の豪邸も造り、サンダーメサの街はみるみる大きくなっていきました。
サンダーメサの発展は多くの人々によって喜ばしいものでしたが、それを警告する人々が現れます。元々サンダーメサの地域に住んでいた原住民族です*1。彼らは「ビッグサンダーマウンテンの頂上に住むサンダーバードを怒らせてはいけない。このまま採掘を続ければ必ず彼の怒りを買い、その時には取り返しの付かないことになっているだろう」と言いました。しかし彼はそんな伝説など信じず採掘を続けます*2。そして予言は本当となり、サンダーバードの天罰が下されるのです*3。
1860年、サンダーメサを超巨大地震が襲います。街の大部分は崩壊し、多くの人々が亡くなりました。そしてその中にはサンダーメサを造ったヘンリー・レイブンスフォードも含まれていました。この地震がきっかけでビッグサンダーマウンテンも廃鉱になり、サンダーメサの街は衰退していくのです...。
このパリ版の面白いところは、ビッグサンダーマウンテンの山がアメリカ河の中央にあるところ。他のパークではどこも河の中央には島があるから、かなり異様な光景に見えるのよ。でも乗り降りする場所は河の外側にあって、スタート直後とゴール直前で河の下側にあるトンネルを高速で抜けるからとても爽快感があって気持ちが良いんだよね。
続いてはフロリダ版! フロリダ版は基本的にはカリフォルニア版、東京版と変わらないのですが、2012年から2013年にかけてリニューアル工事が行われました。ウォルト・ディズニー・ワールドにあるアトラクションには、キューライン(待ち列)の中に、待っている間も暇しないようにミニゲームのようなものがあるものがあるのね。「プーさんの冒険」や「スペース・マウンテン」、「七人の小人のマイントレイン」などなど。ビッグサンダーマウンテンもその一つで、ミニゲームとまでは行かないけど、レバーを下げたら外の小屋から爆発音がしたり、ハンドルを回したら映像が写ったり、いろいろなエフェクトがあったの。そしてそういったリニューアルの中に、新たなプロップス(小道具)が追加されたんだって。ということでそれらを紹介していきますね。
今回フロリダ版のビッグサンダーマウンテンに加わった設定として、バーナバス・ブリオンというキャラクターが新たに登場しました。彼はビッグサンダーマウンテンを採掘するビッグサンダーマウンテン・マイニング・カンパニーの創始者です。ちなみに彼の姿形は、ビッグサンダーマウンテンのアトラクションを実際に考案したイマジニアであるトニー・バクスターという人がモデルになっています。ディズニーシー版タワー・オブ・テラーのハリソン・ハイタワー三世もイマジニアのジョー・ロードさんがモデルになっているので、それと似たような感じですかね。
そしてこちらの手紙。一番上のマーク、何か見覚えありませんか?これはS.E.A.という団体のマークで、S.E.A.、正式名称Society of Explorers and Adventureres(直訳:探検家と冒険家の団体)といえば東京ディズニーシーのフォートレス・エクスプロレーションに登場する団体ですが、この団体が世界中のディズニーパークに登場しているのです。例えば香港ディズニーランドにある「ミスティック・マナー」や、ディズニークルーズラインの「オーシャニア・クラブ」などなど。まああくまで小ネタというか、製作者の悪ノリみたいなものなんだろうけど、世界中に同じ団体の名前があると知るとなんだかロマンを感じるというかなんというか。
そしてこの手紙は、ジェイソン・チャンドラーという人がバーナバス・ブリオンに向けて書いた手紙らしい。そしてこのジェイソン・チャンドラーはディスカバリー・ベイという幻のエリアのキャラクターで、削岩機を売ってるらしい。さらにMuseum of the Weirdというところにいるマダム・ツァハーという人と知り合いらしい。書かれていることはこれだけでもはや何が何だか分からないけど、「わー、S.E.A.ってすごいなー」ってことぐらいが分かればいいんだと思う。たぶん。
これまでパリ版とフロリダ版のストーリーについて話してきたけど、ビッグサンダーマウンテンにはさらにもう一つのストーリーがあるのです。さあ、まだまだ続きますよ!
ディズニーが漫画制作会社のマーベル・コミックを買収して以降、様々な新シリーズが制作されています。例えば今スターウォーズ関連のコミックが大量に出ていて、フォースの覚醒でのC-3POの赤い腕の話などはコミックでしか知ることが出来ず、映画と密接に関係していてすごく面白そうですよね。話を戻そう。
今現在マーベルから「Disney Kingdoms」というシリーズが出ています。これはディズニーパークのアトラクションをテーマにしたコミックで、ホーンテッドマンションの原案ともなった幻のアトラクションであるMuseum of the Weirdをテーマにした「Seakers of the Weird」、エプコットにあるジャーニー・イントゥ・イマジネーションに登場するキャラクター、フィグメントが主人公の「Figment」、皆さんおなじみホーンテッドマンションをテーマとした「Haunted Mansion」、そして「Big Thunder Mountain」です。この「Big Thunder Mountain」を実際に買って読み終わったので内容を紹介しようと思います。ちなみに単行本は一冊20ドルぐらいしました。高すぎ。
物語は1878年、レインボー・リッジという名のアメリカ西部の小さな町で起こります。そこにアビゲイル・ブリオンという若い女性が住んでいました。彼女はビッグサンダーマウンテン・マイニング・カンパニーの社長であるバーナバス・ブリオンの娘。彼女はとても男勝りで強気な性格でした。そんな彼女の夢はビッグサンダーマウンテンの中を一目見る事。そしてアビゲイルはそこで大きな冒険する...みたいなお話。まあ詳しくは実際に本を読んでのお楽しみという事で。どれも絵が素敵だし、アビゲイルが凄く良いキャラしてるのでみんな読もうね!
そしてここに、先ほどフロリダの手紙で登場したバーナバス・ブリオン、そしてジェイソン・チャンドラーのキャラクターが登場するのです!まあ読んだ限り名前を借りたっていうだけで、フロリダ版ストーリーとの関係性はあまり無さそう。何せ地名からして違うからね。
そしてここでもビッグサンダーマウンテンの伝説が一味違った感じで登場します。先住民の部族の一人にボーダウェイという人がいました。彼は何よりも戦いを好み、他の部族と戦っては、その村を焼いていきました。そしてビッグサンダーマウンテンはそれを見て怒りを感じていました(本当かどうかは分からないけど)。そしてある雨の降る夜、ビッグサンダーマウンテンは遂に、ボーダウェイに今まで彼がした罪の償いをさせるのです...。
これまで様々なビッグサンダーマウンテンの世界を紹介してきましたが、どうだったでしょうか?アトラクションに乗るときにこういった物語に意識を向けてみると、ディズニーパークはもっともっと楽しくなりますよ。では最後に一言。「忘れないで。ビッグサンダーマウンテンを怒らせると何が起きるか分からないよ?」