スター・ツアーズは正史設定になれるのか - 最後のジェダイ版の感想

ディズニーパークの人気アトラクション、スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニューが映画「最後のジェダイ」に合わせてアップデートされたので先日行ってきました!のでその感想を、ディズニーオタク兼スターウォーズオタクらしく長々と語っていきます。題してっ、「スター・ツアーズは正史設定になれるのか」

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スターウォーズの作品はどんなメディアであっても全て同じ歴史の一部として扱われ、アトラクションであるスター・ツアーズももちろんその例外ではなく、1987年に出来た旧スター・ツアーズはエピソード6の後、2010年に出来たアドベンチャーズ...の方はエピソード3と4の間の時代の話としてストーリーが作られています。とまあ、ここまでは理解しやすいけれど複雑なのはここから。

2014年、ディズニーは新たにエピソード7から始まる三部作を作るために2014年以前に作られたスピンオフ作品、つまり映画6作とアニメのクローン・ウォーズを除いた全ての作品が紡いできた歴史をリセットして「レジェンズ」と呼び、新たに「正史」つまり正しい歴史として物語を作り始めると発表しました。これによりスターウォーズには二つの世界観が同居することになり、スター・ツアーズたちは2014年以前のスピンオフ作品なのでレジェンズとなります。

がしかし、2015年の「フォースの覚醒」公開時、映画に登場した惑星ジャクー、そしてフィンとBB-8が登場するようになるのですが、これらのキャラは2014年以降の作品で初登場した「正史」のキャラ。それが「レジェンズ」の作品であるスター・ツアーズに登場する複雑極まりない事態に。しかも、こんな小難しい言葉を使わなくてもそもそも時系列的にダース・ヴェイダーから逃げた先にフィンがいるっていうのはタイムマシンかなっていう。TIEファイターの色も違うし。まあ、そもそも他のシーンでもエピソード1とか3に登場しそうな船がエピソード4の時代に登場してるってことになるので疑問は生じるけどね。

とにかく、そんな問題を一気に解決してくれたのが2017年「最後のジェダイ」でのアップデートだったのです。これは、映画に登場した惑星クレイトっていう星が舞台になるよっていう風に宣伝されていたけれど、箱を開けてみたら全然それだけじゃなく、矛盾点を大分和らげてくれる神アプデだったのです。

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一番大きな変更点は冒頭の宇宙港のシーン。これまではダース・ヴェイダーが登場していたところがカイロ・レンに変わりました。これ、映像変わっただけで動きとかストーリーは一切変わらないから「安っちい」なんて意見もあったけれどもそんな事はない。ストームトルーパーもTIEファイターも、なんならスター・デストロイヤーまでエピソード7と8に出てくるファースト・オーダー仕様になっていたというマイナーアップデートの大勝利案件だったのでこれはビックリ。

という事でこれで観ている人も、「あれ?これタイムマシンじゃね?」と思う事は無くなったのです。めでたしめでたし...と思いきや。最初に言った「正史」と「レジェンズ」の関係性を思い出すと、未だレジェンズの作品に正史のキャラが登場するという不思議な状況は改善されていません。でもまあ、その不思議な状況でもいいんじゃないかなとか思うよ。そもそも今回のクレイトのシーンは映画のシーンの真っ只中に登場するので、これが正史だったらC-3POが2人いる問題になっちゃうし。僕は「正史」っていう概念が好きだからとっても残念なんだけど、スター・ツアーズは結局「非正史」つまり正しい歴史としては認められない公式二次創作的な扱いに止まっちゃうのかな。

そんな中、今世界のディズニーパークではスターウォーズがテーマのアトラクションが多数ある、計画されています。そしてそれらは「正史」となりそうなのです!なのでそれらを簡単にご紹介。

まずはハイパースペース・マウンテン。みなさんお馴染みスペース・マウンテンとハイパースペースをかけたこの特別版はスペース・マウンテンの期間限定版として作られたんだけど、そのテーマがなんと「ジャクーの戦い」。これ、映画では登場せずにバトルフロントっていうゲームやロスト・スターズにアフターマスっていう小説とかでしか語られていない出来事。そんな所を取り上げるっていうのはやはりディズニー買収前のスターウォーズでは出来なかっただろうね。

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続いてジェダイ・トレーニング・アカデミー。これは子供達がライトセーバーを学んでジェダイになろう!という体験型ショーなんだけれど、登場するキャラクターはダース・ヴェイダー、ダース・モール、セブンス・シスター、そしてカイロ・レン。このショーはヴェイダーとレンが並んでいるところが見られるレアなショー。

はい皆さん思ったでしょ、ディズニーは時系列きにするようになったんじゃないの?この光景おかしくない?って。そう実はこのヴェイダーとレン、ショーに登場するパダワンの恐れが具現化したフォース・ヴィジョンだという飛び道具設定により矛盾が発生しないのです!どうだー、参ったか!←

ま、カイロ・レンがいる時代にジェダイ・テンプルがある訳ないのでその辺は矛盾してて非正史なんですけどね。

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そして最後に、来年アメリカに誕生するスターウォーズランドことスター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ。これも正史設定になることがすでに発表され、バトゥーという惑星が舞台となります。f:id:stacyperry109b:20180111172033j:plain

そう、バトゥーといえば、今回のテーマであるスター・ツアーズのアップデートで追加された惑星の一つ!カリフォルニアとフロリダとパリのスター・ツアーズに乗ったゲストはクレイトを抜け出した後この星にたどり着き、そしてそのままその足でバトゥーを訪れるという素晴らしい流れが出来上がるのです!!

 

問題:この時、唯一ギャラクシーズ・エッジが出来る予定のない東京ディズニーランドの心境を答えよ。

答え:悲しい

スター・ウォーズ/最後のジェダイを観たよ!

タイトルのまんま。最後のジェダイを観たので、ネタバレ付き感想を書きます!絶対ぐちゃぐちゃになるけど、そこは許して。

スター・ウォーズの定義

ちょうど去年、ローグ・ワンの感想を書いた時に「スターウォーズなんだけどスターウォーズ、でもスターウォーズじゃなくって...みたいな不思議な感覚」って書いてて、もしかしたらローグ・ワンは今回の前哨戦だったのかなって思えてきた。ディズニーが新たなスターウォーズを始めるって時に、おそらく今までの映画6作や過去の"レジェンズ"って呼ばれてるスピンオフ作品からは完全に一線を画すものにしたかったはず。だからこの映画はある意味では2014年の、ルーカスフィルム買収から考えられていたのかも。まずはフォースの覚醒という今までのザ・スターウォーズの作品を作り、そこからローグ・ワンという変化球を投げつけ、最後のジェダイという爆弾を投下する。完璧だね。

衝撃...なのかな

観た直後の感想を言うと、「すごく好きだし面白かったけど、よく分からなかった」かな。分からなかったっていうのはストーリーがじゃなくて、どうしてこうなったのかなっていう分からなさ。敵からの逃避行っていう流れはエピソード5と一緒だけど、怒涛の速さで葬式が行われていくし...。

あと宣伝で言われてた「スターウォーズ最大の衝撃に備えろ!」っていうやつ。今までのスターウォーズ最大の衝撃といえばI am your fatherじゃないですか。それってその場面は誰にとっても衝撃だし絶対にこれはネタバレになるなって分かるし。フォースの覚醒ではハン・ソロの死が衝撃的だったけど。今回は沢山の人が死んでいったりしたけど、この場面は絶対に言っちゃいけない重大な場面っていうのが今回あんまり無いよね。強いていえばスノーク?

つまり「衝撃」っていうのは、これまでの作品を愛したスターウォーズファンにとって、このストーリーラインこそが衝撃だったっていう事なんだろうね。これまで通説だった「全ての作品で嫌な予感がすると誰かが言う」「ラストのシーンにはスカイウォーカー家の人物が映る」「3部作の2作目では誰かが腕を切られる」とかを無視し、これまで観たこともないレベルのフォースの強さで戦いが繰り広げられたり。

あと思ったんだけど、今回の予告編って凄く意味わからなかったじゃん。あれさ、実際の映画観てもまだ意味わからないからまあ至極当然のことだよね意味がわからないのは。だって観た後でも人に説明出来る気がしないもん。もうディズニーはフォースの覚醒で十分すぎる新規ファンを得たからこそストーリーでこれだけやりたい放題出来るのかな。さすが。

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スピンオフをください

スターウォーズにはスピンオフ作品が媒体を問わず出てるっていうのは前に言ったけど、今回の映画で「フォースの覚醒でひたすらに広げた風呂敷は畳みません」宣言が実質なされて、様々な謎が宙に浮いてしまったのです。もうどんなにあっさりとでもいいからさ、せめて何とか語られてほしい。まず真っ先に思い浮かぶのは「スノークって誰」でしょ、「なぜマズ・カナタがルークのライトセーバーを持ってたの」だったりとかも。そしてレイの両親についてはもうこれ以上語られることは無いんだろうな。

でも今回マズ・カナタが超"アグレッシブ"おばあちゃんということが分かったので、マズの冒険はもっと見てみたい。あと形は特殊だけど、スター・ツアーズもスピンオフ作品の一つ。ああ、早く乗ってみたい!!

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スター・ウォーズ「ブラッドライン」を読んだよ!

日本語版発売より少し早く、英語版でスター・ウォーズ小説「ブラッドライン」(Bloodline)を読み終わりました。ので、それの感想たち!

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エピソード7への重要な架け橋

スター・ウォーズでは映画だけでなく様々な媒体で銀河の歴史が綴られているのですが(この記事参照)、エピソード1からエピソード7までの期間で唯一ほぼ語られていない期間があります。それこそがエピソード6からエピソード7の間。

エピソード6で反乱軍が皇帝とダース・ヴェイダーを倒した1年後、ジャクーの戦いによって帝国は解体されます。そこまでの歴史は詳しく描かれているものの、そこから先は全くの空白状態で、気がついたらファースト・オーダーやレジスタンスなど新たな組織がエピソード7で登場しています。この空白期間の中で、現在唯一のピースがこの「ブラッドライン」なのです。

ブラッドラインは、エピソード7でスターキラー基地によって秒で破壊されたホズニアン星系の新共和国が舞台。かつての共和国を再建したいという必死の思いで反乱軍は戦ってきたのだけれども、腐敗は想像以上に早く訪れた。旧共和国(エピソード1から3に出てくるやつ)は1000年も続いたのに、新共和国は20年でゴタゴタだらけ。やはり「ジェダイなしに銀河の平和は保たれない」なのかなぁ。

これを読んでて思い出したのが小説版ローグ・ワン。この中で「反乱軍は帝国という共通の敵がいるから今は結束しているが、そうでなければすぐに崩れてしまうだろう」という描写。世界にはあまりにも様々な考え方の人がいて、それらをまとめるのは難しくいっそのこと力で統制するのも一つの手なのでは?という現実世界にも通じそうなメッセージが組み込まれてるのです。

今明かされる衝撃事実!!

この小説の中盤である衝撃的な事実が明かされます。そう、レイアの父親はあのダース・ヴェイダーだったのです!!!

 

 

いや、うん。知ってた。

 

スター・ウォーズ映画を観ているこちらとしては正直1983年から知っている情報なんだけども、銀河の人からしてみればスーパーウルトラ衝撃情報なのです実はこれって。スター・ウォーズって実はこういうところしっかりしてて、映画を観ている人が知っている情報と銀河の人々が知っている情報をきちんと区別しているの。だから銀河の人々はジェダイについて結構何も知らないし、フォースを信じている人の方がもはや少ない状態。

そもそもあのアナキン・スカイウォーカーがダース・ヴェイダーの正体だったという僕たちが1980年から知っている事実も全然このブラッドラインの時点まで知られてなかったからね。ということでちょっと本題からずれるけど、ヴェイダーの正体を知っていた人を現在正史設定の中で明らかになっている範囲でピックアップしてみますね。

 

まずはエピソード3の時点。アナキン・スカイウォーカーの存在はクローン戦でのプロパガンダにより多くの人々が知っていたけど、彼がダース・ヴェイダーになった事実はごく限られた人しか知りません。名前をあげていくと、パルパティーン(皇帝)、オビ=ワン・ケノービ、パドメ・アミダラ、ヨーダ、ベイル・オーガナ、そしてR2-D2とC-3PO。後、ルークの育て親であるオーウェンとベルー・ラーズも映画内で描かれてはいないけどおそらく。

そしてエピソード3以降、ヴェイダーの正体を知る人が少しずつ増えていきます。まずはターキン。彼はクローン戦争時代にアナキンと、そして帝国の発足以降はヴェイダーと共に時を過ごしています。そのためターキンは、ヴェイダーの正体がアナキンだと何となく勘づきます。しかしターキンはそれを口には出さず、でもヴェイダーも皇帝もおそらくターキンは知っているんだろうなと思いながらも口には出さない...みたいな状況が小説「ターキン」の中で語られます。

そしてコミック「ダース・ベイダー」に登場するサノス。彼はエピソード4以降ヴェイダーと行動を共にするのですが、ヴェイダーに向かって「アナキン」と呼びかけます。でもこの事実を誰かから教えてもらうわけがないからきっとこの人も勘付いたんだろうなぁ。

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エピソード4直前の「反乱者たち」の時代、かつてアナキンの弟子であったアソーカ・タノもこの事実を知ります。アソーカさ、マラコアであの後何があったんだろうね。謎すぎるね。

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そして時代はエピソード5へ。ルーク・スカイウォーカーがなんと本人から「I am your father」によってこの事実を知ります。その後ルークはエピソード6の中でレイアにこの事実を間接的に伝え、レイアはその後ハン・ソロに伝えます。

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ということで今のところこれだけ。しかし一番よくないのはレイアがこの事実を息子のベン・ソロに伝えなかったこと。ベンは自分の祖父の真実をニュースで見るという中々最悪の事態に陥るのです。

小説の中でなぜ息子に伝えなかったのかと問われたレイアは、ベンにはまだ早いと答えました。しかしベンはこの時すでに23才。もう十分に立派な大人の年齢ですよ。そして奇しくも、23才というのはレイアが父親の正体を知った年齢。そうなると、一体レイアはいつまで隠しておくつもりだったのかと不思議に思うよね。