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stacy's blog

ディズニーが好きな人がディズニーについて語るだけのブログ。

タワー・オブ・テラーの物語

全然ブログを更新しないのもあれだから、過去に書いたタワー・オブ・テラーの小説を載せてみようと思い。文章の表現が拙いのは知ってるけど、個人的には気に入ってる作品だったりする。ちょっぴりpixiv版より気になったところを付け足してみたから、少しは読みやすいはず。多分。ちなみにラストの写真は自分で撮ったよ。カッコいいでしょ?

行ってはならない。そのホテルは呪われているんだ。自分はこの目で呪いを見たんだ。行ってはならない...

Chapter 1 1892年1月23日

ここはニューヨーク。常に時代の最先端を行き、世界中から様々な人が集まってくる。海に面したこの街を、人々は時にアメリカンウォーターフロントと呼ぶ。そんなニューヨークの中心に今日あるホテルがオープンした。その名はホテルハイタワー。開業セレモニーはとても盛大でニューヨーク中、いや世界中から著名人が集まった。
そして、そのホテルハイタワーのオーナーは、あの有名なハリソン・ハイタワー三世だ。彼は裕福な親の元に生まれたが、成長するとすぐに親と仲違いし勘当される。そこでハイタワーは若いにもかかわらず、その時ちょうど起こっていた南北戦争を利用して富を築きあげた。その後も手段を選ばない手段を続け、今ではニューヨーク随一の大金持ちだ。そして彼は自身を冒険家と読んでいる。しかし読者の諸君が想像する「冒険家」と彼の実態は似てもよらない。なぜなら彼は世界中の宝を強奪していったのだから。ホテルハイタワーのロビーにもたくさん宝があるが、ほぼ全て強奪した物だと思われる。そして何より、傲慢で強欲だ。このホテルハイタワーも、わざわざロシアの有名な建築家であるオスカー・キルノフスキーを雇ったにも関わらず、デザインが気に入らないという理由で解雇したらしい。なんて奴だ。他にもこのホテルには様々な噂があって、ホテルの莫大な建築費はニューヨーク市民の税金から出されているという噂まである。そんな事がバレたら市民の暴動が起きるのではと思うが。

特に彼を嫌っていたのは、コーネリアス・エンディコット三世だ。ニューヨークの巨大客船S.S.コロンビア号などを所有するニューヨーク第2の富豪だ。彼とハイタワーは、祖父の代から犬猿の仲だったそうだ。
そんな敵が多いハイタワーだが、極めて頼れる執事がいた。その名はアーチボルト・スメルディング。ハイタワーが20代の頃から執事を務めていて、ハイタワーの唯一の親友とも言える。さらに頭脳明晰、戦略家であり20ヶ国語以上を話せるためハイタワーの強い味方である。ダブルエイチ・ピリオディカル社という出版社から出ている「ハイタワー三世真実の冒険物語」という雑誌を書いているのも彼らしい。ちなみにこの本は、ハイタワーを英雄として描いていて、真実でも何でも無く作り話であるという意見が強い。
おっと、私とした事が自己紹介を忘れていた。私はマンフレッド・ストラング。ニューヨーク・グローブ通信という新聞社で働いている。オーナーは先程紹介したエンディコットだ。そのため、時折ハイタワーの事を貶す記事を書けとの命令がよく来る。それ故ハイタワーに関してこんなに詳しくなった。もっと他の記事を担当したいのだが...。
失礼、少し愚痴が混じってしまった。続いてホテルハイタワーについてだが、元々ハイタワーの邸宅だった物を大幅に増築した物で、ハイタワーの偉大さを示しており、「美・力・気品・卓越性」の全てを具現化している。このホテルは大邸宅、グレートタワー、カリフスタワー、インディアンタワー、庭園の5つに分けられており、一番高い所は59メートルである。ロビーには1875年から1888年までの13年間の冒険について描かれた絵があり、イースター島や地中海沿岸、日本やロストリバーデルタへ行った時について描けれている。但し、これらは実際の冒険をかなり美化してある。
そして庭園は瞑想の庭園とインドの庭園があり、様々な像が設置されている。
他にも舞踏室や図書館、プールなど世界中の人に喜んでもらえる様に様々な施設がある。宿泊費は極めて高額だが、予約が埋まるほど繁盛した。
ハイタワー三世は、この時期に栄華を極めた。しかしどんなものにも終わりが来る。そのためには、ハイタワーのコンゴ遠征を説明しなくては。

Chapter 2 1899年夏

1899年の夏にハイタワー達はアフリカのコンゴ川流域に行った。しかしこの旅は、ハイタワーが今まで経験してきた旅の中でも極めて過酷なものだった。恐ろしい程の熱気と湿気と虫の大群、さらに原住民の攻撃などにより、最初は30人だったメンバーも大きく減ってしまった。それでもまだ、ハイタワーのコレクションに入れる事が出来るような財宝に出会っていなかったため、皆引き返そうと言い出した。しかしハイタワーは「成功というのは失敗の中から生まれてくる」と言い張り、決して諦めなかった。

しかし彼らにさらなるピンチが訪れる。カヌーで上流を目指していた時に、原住民の部族がカヌーを攻撃してきた。矢や槍が大量に降ってきて、危うく追いつかれるという時に相手が急に攻撃を止め、一目散に逃げ帰った。一同は疑問に思ったが、すぐに通訳が説明をした。どうやらここは黒魔術を使うとされ、他の部族からも恐れられているムトゥンドゥ族が暮らす場所だったらしい。ちなみにムトゥンドゥとはこの地域の言葉で災いという意味である。どれほどこの部族が恐れられていたか分かるだろう。

恐る恐るハイタワー達は村の中へ入り、ムトゥンドゥ族と会った。すると意外なことに彼らはかなり友好的で、歓迎の宴を開いてくれた。そこで酋長のキジャンジはハイタワーに対し、この村はシリキ・ウトゥンドゥという偶像によって守られていると話した。

300年ほど前の呪術師が作ったとされる偶像で、作った本人の遺骨が入っている。但し、この偶像は段階を経て作られているため、武器や台座は後から取り付けられている。この偶像を持つ部族には、始めは幸せが訪れるが徐々に災難が襲い、最悪の場合には部族全体が丸ごと消えるとされている。さらに偶像を扱う上でいくつかの掟があり、それらを一つでも破るとシリキ・ウトゥンドゥの怒りに触れ、恐ろしい呪いが襲いかかるという。その掟とは、

・偶像を敬う事。

・火を近づけない事。

・包まない事。

・埋葬したり小さな建物の中に置いたりしない事。

・常に屋外に置き、雨を避け、決して完全に囲ってはならない事。

・偶像を置き去りにしたり、捨てたり、人にあげたりしてはならない事。

・そして何より、恐れる事。

そして、ムトゥンドゥ族はこの掟を守ろうとし、一切火を使わなかったという。

一目見て心を奪われたハイタワーは偶像を手に取り、記念写真を撮った。すると、この偶像が欲しくてたまらなくなり、輝くビーズやナイフ、自分の杖と交換しようと持ちかけたが拒否された。そこでハイタワーはいつもと同じ様に武力で強奪しようとした。しかし22人しかいないハイタワーに対し、ムトゥンドゥ族は300人近くいる。厳しい戦闘になると身構えたが、相手は一向に襲ってこない。ハイタワーがシリキ・ウトゥンドゥを手に取っても全く襲ってこず、そのまま持ち去る事が出来た。

一行が村を出ると、ムトゥンドゥ族の大きな笑い声が聞こえた。何故守り神を取られたにも関わらず笑っているのか。不思議に思ったが、この像を他の部族に見せると彼らは一目散に逃げたため、疑問は段々と消え、安心へと変わっていった。

ここで先ほどのシリキ・ウトゥンドゥに関する掟についてもう一度見てみよう。偶像を他人に譲渡する事は掟に反している。しかし強奪された場合には掟に触れていないので、ハイタワーに強奪してもらう様に仕向けたのである。しかしシリキ・ウトゥンドゥはそれもお見通しなのか。この直後にムトゥンドゥ族は他部族から攻撃を受け、ほぼ全滅したそうだ。

この後にハイタワー一向はジャングルの中で謎の男に出会った。その男は偶像をひどく恐れており、先ほどの掟と「偶像の目に気をつけろ」というメッセージを残して消えてしまった。偶像の目は閉じているため皆何を言っているのか分からなかった。

そしてニューヨークへ帰るための船に乗る時に、ハイタワーはシリキ・ウトゥンドゥを小さな箱にしまおうとした。すると急に天気が悪くなり船の先に雷が落ちた。ハイタワーはその事を気に留めなかった様だが、スメルディングは呪いが本物だと気付き、ニューヨークに着くまで彼が大切に保管していた。

そしてニューヨークへ戻ってきたのは12月27日。あの事件のわずか4日前であった。

ちなみに、ニューヨークに戻る途中にS.E.A.という名の秘密組織の会合に出席していたという噂もあるが、情報は定かでない。ハイタワーには様々な人物の恨みが関わっているため、誰からの情報も信用ならないのだ。

Chapter 3 1899年12月31日

その日はコンゴ遠征からの記念セレモニーが行われ、お祭騒ぎだった。自分はその時シリキ・ウトゥンドゥについて調べていたため、ハイタワーに聞きたい事が沢山あった。

「私は莫大な金をかけ、命を危険にさらしてコイツを手に入れた。原住民の皆様方は手離すのを嫌がったがな!」

ハイタワーが自慢げに偶像の話をする中、私は当時より気になっていた質問をした。

「ハイタワーさん、それは呪いの偶像と言われていますよね?」

「呪いの偶像だと!馬鹿馬鹿しい!」 周囲の人々が大声で笑う。これ以外もしたい質問が山ほどあったのだが、やはり限度という物があるらしく、警備員を呼ばれ会場から追い出されてしまった。 しかし私は新聞記者。こんな事ではめげるはずがない。私はホテルのウェイターに変装して、再びホテルに戻った。すると、ハイタワーがシリキ・ウトゥンドゥを持って自分の近くにあるエレベーターに乗ろうとこちらへ向かってくるではないか!

これほど良い質問のチャンスはないと考え、変装を解き質問しようとしたが、またもや警備員に止められ質問が出来なかった。そしてハイタワーはエレベーターに乗り込み、彼の部屋へ戻ろうとした。そこで私はハイタワーが葉巻をシリキ・ウトゥンドゥに押し付けているのを見た。重大な掟違反だ。

そして時計が12時を指した瞬間、上の階で爆発のようなものが起きた。そしてホテル中が停電となり、ゲストたちは今まで感じたことのないほどの負の感情を一斉に感じた。過去の辛い思い出が走馬灯のように蘇り、膝から崩れ落ちる人が続出した。昔の古傷が痛んだ人もいたそうだ。 会場は大パニックになり、皆が我先にとホテルから逃げ出そうとした。その混乱により多数の負傷者が出てしまった。また同時に、ハイタワーが乗っているエレベーターがコントロールを失い、恐ろしい勢いで落下した。外でみていた人によると、その時エレベーターは緑色に光り、ハイタワーの叫び声が聞こえて来たそうだ。

そして落下して来たエレベーターを駆け寄ってきたスメルディングと共に見ると、そこにはシリキ・ウトゥンドゥとハイタワーの帽子だけが残されていた。ハイタワーは消えてしまったのだ。 その後ニューヨーク市消防署によって、事故の原因が分かるまでホテルは閉鎖され、人々は荷物を取りに戻る事も許されなかった。しかし原因など分かるはずが無い。何故ならあれはシリキ・ウトゥンドゥの呪いだからだ。彼は偶像に敬意を払わず、火を近づけたからこうなったのだと私は信じている。 結局事件の原因はニューヨーク市消防署には分からず、ハイタワー失踪の謎は迷宮入りとなった。噂ではハイタワーは肉体を無くしたが、魂はホテルの周りをさまよっていて、ホテルの中へ入ろうとする人に警告しているという。そして人々はホテルハイタワーの事を恐怖のホテル「タワー・オブ・テラー」と呼ぶ様になった。

Chapter 4 1912年8月22日

事件の後の13年間で実に様々な事が起きた。まずハイタワー失踪後、彼がやっていた事業は急速に停滞しエンディコットが経営している会社に吸収合併されてしまった。そこでエンディコットは、今もなお閉鎖されているホテルハイタワーを取り壊してエンディコットグランドホテルというホテルを作ろうとした。しかしそこで思わぬ邪魔が入る。それは彼の7番目の娘であるベアトリス・ローズ・エンディコット。彼女が14歳の時である1897年に、迂闊にも私が落としてしまった「ハイタワー三世真実の冒険物語」を読んでから親の敵であるハイタワーに傾倒してしまったそう。その為ハイタワーの象徴でもあるホテルハイタワーを取り壊す事など絶対に許せなかったのだ。

そして転機が訪れたのは1908年。ベアトリスが公園でホテルハイタワーのスケッチをしていた時に、アーチーという謎の男に出会う。彼は汚れた山高帽を被り、汚い服装で痩せた老人で、何かに怯えているようだったが、とても礼儀正しかったそうだ。彼は事件以前にホテルハイタワーのコックの助手として働いていたらしく、ホテルについて凄く詳しかった。しかしあの事件によって職を失ってから働き口が見つからず、妹家族に世話になっているという。

そして彼はベアトリスの話を聞き、ホテルハイタワーの買収を提案したが、ベアトリスの父であるエンディコットが自分のホテルを建てようとしている事を知ると、ホテルハイタワーの文化財を守るための協会を作り、一般のゲストにホテルの中を見学してもらうホテルツアーを開催するべきだと言い出した。そうして1912年6月にニューヨーク市保存協会が秘密裏に設立された。この協会の目的は「ニューヨーク市の貴重な文化財を守る」事だったが、実質的にホテルハイタワーのためだけに設立された様な物だった。

その事務所は私が働くニューヨーク・グローブ通信の近くにあったため、その動きにすぐに気付き、ベアトリスと話をして計画を中止させようとした。あのホテルの呪いは本物なんだと。しかしベアトリスは聞く耳を持たず計画を先に進めていった。 そんなある日、ベアトリスから一通の手紙が届いた。「あなたを一足早くホテルツアーに招待します。8月22日の午後5時にホテルの前に来てください。」これがホテルツアーを中止させる最後の希望だと信じて、行く事にした。

指定された時間にそこへ着くと、居たのはベアトリスただ一人だった。こうして2人だけでホテルの中へ入ることになり、まずはロビーへ入る。植物は枯れ、ホコリはたまり、クモの巣も大量に出来ている。13年前とは大違いだ。庭園や、事件が起きたエレベーターを見ながら進むと、写真室に入った。

「ここでゲストに、事故が起きた日の記者会見を聞いてもらおうと考えてるの。」そう言って、蓄音機を回す。「ハイタワーさん、それは呪いの偶像と言われていますよね?」「呪いの偶像だと!馬鹿馬鹿しい!」 「この質問している人ってあなたよね?この頃から呪いについて言ってたのね。」呆れたように言い放ったベアトリスだったが、私はそれどころじゃ無かった。何かがおかしい。ロビーで動く人影の様な物を見た気がするが、何か不可解な事が起きている。本能が危険だと告げている。 その瞬間部屋の電気が消え、13年間使われていないはずの電話が鳴り出す。さらにステンドグラスの絵が動き出し、壁が星のように光る。そして電気が付くと、さっきまで部屋にあったシリキ・ウトゥンドゥが消えてしまった。私は「今のは呪いへの警告なんだ。すぐに引き返すべきだ。」と言ったが、ベアトリスは「きっと誰かのイタズラだ」と全く取り合ってくれない。そしてハイタワーが強奪してきた宝を集めた秘密倉庫へ向かった。すると、山積みにされた貴重な宝の数々に私達は圧倒された。しかし、それらを台無しにしている異常に高い湿気。ニューヨーク港には秘密の水路があるという噂を何度か聞いたが、もしかするとここに繋がっているのでは無いかと思った。

そうして倉庫の中を探検していると、謎の通路を見つけた。ベアトリスもその通路の事を知らないという。中に入ろうとすると、突然古代エジプトの像が倒れてきた。危うくベアトリスが押し潰されそうになったが何とか助け出すと、誰かが走る足音が聞こえた。「ほら、写真室での出来事もあの人のイタズラなのよ。きっと浮浪者とか何かでしょうね。」 通路の中へ入っていくと、誰かが住んでいるような形跡がある部屋に出た。そこにはハイタワーの事件や、ベアトリスが企画しているホテルツアーに関係する物、さらにアーチーが着ていた服があった。「これはアーチーの部屋だ。そして彼はコックの助手なんかじゃない。ハイタワーの執事だったスメルディングだ。」しかしベアトリスは、アーチーが嘘を付いていたという事に関してあまり気にしていない様だ。「じゃあ全て解決ね。写真室の出来事も像が倒れたのも全部その執事がやったのよ。タチの悪いイタズラね。」しかし自分にはそう思えなかった。写真室の出来事は彼一人で出来る様な物ではない。何か我々には理解できない様な事が起きている。

その後エレベーターを乗り継いで14階まで上り、ハイタワーの自室へ向かった。すると消えたはずのシリキ・ウトゥンドゥがそこにあった。不思議に思っていると、電話線が切れて使えないはずの電話が突然鳴り出した。恐る恐る受話器を取ると「愚か者...何故忠告を聞かなかった!」この声は知っている。ハイタワー三世だ!後ろを見ると、シリキ・ウトゥンドゥの目が緑色に光っている。呪いをかける時の合図だ。 すぐにベアトリスを連れて階段を駆け下り、命からがらホテルから脱出した。

「見ていないのか!シリキ・ウトゥンドゥの呪いは本物なんだ!」

「なぜそこまでホテルハイタワーを嫌うの?多くの職員がホテルを調べたわ。でもそこには何の異常もなかった。もちろん呪いなんてものもね。あのホテルは安全よ。」

「そうじゃないんだベアトリス。目で見て分かる異常なんてものでなく、あのホテルは...ホテルハイタワーは精神的に腐っている。」

ベアトリスは完全に呆れた様子だった。

「あなたって本当に頑固ね。せっかく名誉挽回のチャンスをあげたのに。もしまた変な記事を書いてホテルツアーを邪魔しようとしたら、また解雇されるわよ。」

その一言で私は完全にやられた。あの事件直後にシリキ・ウトゥンドゥの呪いに関する記事を書いた所、私への批判が高まり一時的に解雇されてしまったのだ。あの解雇された時の苦しみはもう味わいたくない。ホテルツアーを止める手段は、もう無くなってしまったのだろうか。

Chapter 5 1912年9月4日

ホテルツアー開始の日。結局私には何も出来ることは無く、行きつけのニューヨーク・デリでランチを食べている。するとベンチの横に長身の年老いた男が座り、話しかけてきた。「やあ、ストラング君。元気にしているかい?」 新聞記者は人の顔を忘れてはいけないと上司から何度も言われていたが、すぐにはその男を思い出せなかった。 「もしかして、あなたはスメルディングさんですか?」 そう、相手はハイタワーの執事スメルディングだった。13年前よりも痩せこけていて、髭も凄く長い。あまり清潔とは言えない風貌である。

「君は賢いね。それはそうか、シリキ・ウトゥンドゥの呪いが本物だとすぐに気付いたからな。」

「そんな、とんでもないです。会うのは13年ぶりですかね。」

「いや、2週間ぶりだ。まあ、きちんと話すのはあの日以来だが。」

やはり、あの人影は彼だったのか。そして、ずっと気になっていた質問を思い切ってぶつけてみた。

「あの、一つお聞きしたかったんですが、何故あなたはベアトリスにホテルツアーを勧めたんですか?エンディコットの新しいホテルの計画を中止させるだけで良かったのでは?」

「誰にも言わないと決めていたが、君になら伝えてもいいだろう。君は知っている様に我が主であるハリソン・ハイタワー三世は魂の状態となって、13年間シリキ・ウトゥンドゥに怯えながらホテル内をさまよっている。しかしホテルツアーを行えば、怖いもの知らずの客達が沢山やって来るだろう。そこでシリキ・ウトゥンドゥの怒りを買えば、ハリソン・ハイタワー三世の魂も解放されるのでは無いか。そう考えている。」

そう言ってスメルディングはニヤリと笑った。私は、これほど恐ろしい笑いを見たことが無かった。ハイタワーへの恐ろしい程の忠誠心。そして好奇心によってホテルへ入ったゲストに恐怖の呪いがかかろうとしている。

「さあ、そろそろエレベーターが最上階に着くはずだ。シリキ・ウトゥンドゥの呪いが発動するぞ。」 笑いながら言ったスメルディングの言葉に驚き、ホテルを見上げる。ちょうどその時ホテルのエレベーターから、緑の閃光が放たれた。

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